エイブラハム:
ジェリーとエスターは、
サン・アントニオに建築中の家を
チェックしに行くことにしました。
建築作業が恐ろしく遅く、
仕上がるまでに
5年近くもかかっていますが、
どうにか住める状況になってきたので、
チェックがてらに
9日間をそこで過ごすことにしたのです。
到着すると、
エスターはその美しさに
卒倒しそうになりました。
まさに2人のドリームハウスであり、
それまでにカタログや店から少しづつ
選び出していったもの(ドアやランプなど)が
完璧な形できちんと備わっていたのです。
自分が願っていたものがすべて
形になっていたときの驚きと喜び!
家中の「ミス」が
目につくようになったので、
2人はテープレコーダーを片手に歩き回り、
これから5か月間ほど留守にする間に
修復して欲しいもののリストをあげていきました。
リストはどんどん長くなっていき、
最初は楽しんでいた2人も、
工事の人がドタドタ出入りするのを見てるうちに
新築の家がどんどん古くなってくるような
気持ちになったものです。
たとえば、
ランドリールームのキャビネットを
作ってくれている青年は
とても感じがいいのですが、
外で作業をしてから室内に入るとき、
土やら埃やらを家の中に持ち込んで
床をすっかり汚してしまう。
エスターは注意をせずにいられなくなり、
できるだけ優しく言いました。
「箒を持ってくるわね。
誰かがこの土を踏んだら
木目に汚れが染みつきそうだから。。。」
すると青年はエスターを、
こうるさい母親を
見るような目で見ました。
「マダム、僕は1日の終わりには
いつもちゃんと掃除するんですよ、」
その口調にイラつきながら、
「でも、作業中にも掃除して欲しいの。」
と床を掃くと、
今度は釘が落ちているのを見つけました。
「あら。誰かが踏んだら、
床に傷がついちゃうわね。」
拾い上げて彼に渡すと、
青年は黙ったまま、
まさに自分の母親を見るような
まなざしを向けました。
エスターとジェリーが
外出してから帰宅すると、
ランドリールームは彼のおかげで
美しく完成されていたのですが、
さきほど釘が落ちていた床に、
別の釘が落ちていて、
あきらかに誰かが踏んでひっかいた
傷ができていました。
エスターは自分がそれを引き寄せたことを
悟りジェリーに説明したけれど、
ジェリーは聞こえないフリをしてました。
そうこうしているうちに、
家具のトラックが到着し、
エスターとジェリーがカリフォルニアの店で
調達した美しい家具が届きました。
大きなテーブルは、
店の人が約束してくれたとおり、
何重にも頑丈に包装されていましたが、
逆さまのまま運ばれてきました。
配達員がピカピカ光る大きなナイフを使って
包装を破るときに、
エスターは心配そうに注意しました。
「家具に傷をつけないように気をつけてね。」
そういうミスやハプニングは、
先ほどの床のことも含めて、何度も体験
していたのです。
最後に包装がすべて外されると
世にも美しいテーブルが出てきました。
テーブルは逆さまだったので、
配達員たちが、もとに位置に
ひっくり返すと、ねじが緩んでいたらしく、
テーブル部分が落ちて、
足が壊れてしまいました。。。。
エスターとジェリーは、わなないて
もしもここで言ったら
この音声録音を後から修正しないと
いけないような言葉を口にしました
(会場、爆笑。。)
でも、同時に、
蒼白になってる配達員に向かって、
あなたの責任じゃないから大丈夫、
と声をかけたのです。
彼らの責任ではないのです。
そのときまでエスターは
「万が一のことが起きては困るから、
気をつけないと!!!!!」
という波動の渦の中にいました。
正確に言えば、
「きっと悪いことが起きるだろう。
きっと傷がつくだろう、破損するだろう」
という強い確信があったのです。
だから、物事はその通りに起きてしまった。
あなたがそう確信すると、それは起きるの。
この法則は、「確信」という
名のゲームでもあるのですよ。
配達員や大工さんが
家具やら床やらに傷をつけたという
過去の経験から
「それが起きるかも」という思考は
パターン化していました。
でも、そういう状況は
自分がコントロールできることではない。
配達員や大工さんや他の人たちが
絶対に間違いを犯さないように
コントロールすることなどできないのです。
だから、自分が変わるしかない。
過去の思考パターンを変え、
波動を浄化するべきだったのです。
ここまで聞いる会場の人の中には
「なーんだ。エスターはエイブラハムに
1995年に出会って、
エイブラハムは何年も同じことを
繰り返して言ってるのに
未だにわかってない。
それじゃあ、自分に分かるわけないよなぁ。
よし、諦めた!もう家に帰ろうっと。」
と思う人もいるでしょう。
(会場爆笑)
いえ、
ジェリーとエスターは
素晴らしい人生を送っています。
でも、彼らにだってこういう
法則はちゃんと働くということなのです。
例外などありません。
だけど、エスターが嫌な気分に
陥ったのは、テーブルが破損した
ためではないのですよ。
人々が嫌な気分に陥るのは、
不都合なことが起こったり、
誰かに嘘をつかれたり、
誰かの言葉に傷つけられたり、
物事がうまくいかなかったからでは
なく、
「こうだったらいいな~」
と思う世界の波動と、
そこから遠いところにいるように
感じられる今の自分の波動。
その不一致が原因だということ。
エスターとジェリーは、
そこには9日間しか滞在せず、
その間にやらなければならないことが
山ほどあり、だんだんと
手に負えなくなってきた。
そのためエスターの波動は、
ドリームハウスであるその家での生活を
思ってワクワクした波動とは、
大きく離れてた、イラついたものに
なってしまっていました。
エスター達が何年もかけて
建設しているその家に住んで
楽しく暮らしているイメージは、
波動の世界に創造されて、
現実化されるのを待っているというのに。
エスターはそこから遠いところにいるように
感じてしまってる。
みなさんにしても、
恋愛して楽しく過ごしたり、
幸せな結婚生活や、
仕事で成功しているイメージが
あると思いますが、それらは
波動の世界にすでに創造されています。
今の自分がどんな状況にいたとしても、
それを軽く受け入れて、
意識的に「いい気分」になることを選び、
良い波動をキープさせておけば、
願いはそのうちにきっと叶う。
だけど、叶ってない現実を
見つめすぎて波動の不一致が続けば
「いい気分」から転げ落ちる。
宇宙はあなたを進化させようとしています。
だから、ちゃんと追いつかないと。
テーブルが壊れたあと、
ジェリーは別の用事でどこかに行き、
テーブルのことは忘れていました。
エスターは配達員たちが別の包装を
解いている傍らにいましたが、
彼女をはじめ全員がすでに気を取り直して
さっきのハプニングについて
大笑いしていました。
嫌な気持ちは捨て去って、
そして、「さて、どうしよう?」
と前進していたのです。
修復できる大工がいるかもしれない。
などという前向きな話が展開していました。
解決法が見つかったので、
壊れたテーブルを見ても
怒りが蘇ることもありません。
きっとまた恋人が浮気するだろう、
とか、他人に裏切られるだろう。
などという確信をしていたら、
それは起きてしまうかもしれません。
でも、あなたの波動が動揺するのは
それが起きたからではなく、
あなたの望む状況の波動と
あなた自身の波動が一致していないから。
それが、本当の原因なのですよ。
☆
エスター・ヒックスのワークショップの
対話をもとに書きました。たくさん省略もしています。
亡き夫ジェリーが元気だった頃のワークショップ
なのか思い出話なのか分かりませんが、
数年前に行われたもののはずです。
直訳でないので転載禁止